埼玉県越谷市、春日部市、さいたま市のマンションリフォーム専門店の建築士コラム

二重サッシだけではマンションの結露は防げない


エコポイント(今回の名称は省エネポイント)の復活に数年前のように、一番手軽に設置ができてポイントもつく内窓式二重サッシの需要が大きくなることが予測できます。

とくにマンションにお住まいの方は日ごろから窓の結露に悩まされている方がおおいですから、その需要はさらに多くなることでしょう 結露を抑制するのに窓の断熱性を向上させるのは有効な方法と言えます。
住宅の中で温められた空気が寒い外気の影響によって熱を損失することを熱損失といい 室内の熱損失の割合を当てはめると、窓からの熱損失が60%だといわれておりますので、その窓を断熱するのは有効な手段です。

しかしマンションの場合、上記に加えていくつかの構造的な特徴によって窓だけの断熱だけでは結露を防ぐことは難しく、ヒートブリッジ現象(熱橋現象)と言って 返って窓以外の壁や見えない壁内部に結露しカビが繁殖してしまう現象が起きるのです。 さらにこの現象をわかって上で断熱工事をできない会社が多く、省エネポイントで新しい制度の断熱材の使用も対象となるのですが、 その計算方法も使い方も知らない業者さんに任せるとお客様が損をしてしまいます。

ここでさらに詳しくお話させていただきます。
①外皮躯体壁の断熱工事と熱橋対策 マンションはRC構造が大半ですから。躯体はコンクリートで作られています。そのコンクリート躯体の壁が外気に触れている部分を外皮と言い、この外皮コンクリ躯体が冬の寒気を室内に伝えるわけです。
コンクリ躯体の熱は外皮にとどまらず、外皮に大して直角に位置にする隣室の界壁躯体や天井壁にも熱が伝わり、その外皮壁と界壁壁の接合部がもっとも冷たい状態になってしまうのです。これをヒートブリッジ現象(熱橋現象)といいます。
ですから、皆さんの家でも、もっとも寒気の影響を受けやすい北側洋間や共有廊下に面した室内の天井や壁の接合部である角に黒いカビが多く生えている現象が見られると思います。

この状態で窓部分だけを断熱対策として二重サッシを施工するとどうなるか?といいますと 熱を損失する割合の高い窓を断熱することで室温を高い状態に保つことができます(施工前にくらべて)が 断熱されていない外皮躯体と熱橋状態の界壁は外気の影響を変わらず受けていますので結露してしまう状態ができてしまいます。

さらに二重サッシによって気密性があがるわけですから、滞留した空気が湿度をあげる可能性があり、さらに結露しやすい室内になってしまいます。ですから、調湿性のある仕上げ材料を使用して湿度をコントロールすることも大切です。ただ調湿というとエコカラットを使用する業者が多いですが、これも逆効果です。 調湿はしますが、セラミックなので外気の影響を受けやすくなり断熱に逆行してしまいます。

ここでさらに注意しなければならないのは、外皮や界壁の熱橋部分に結露をすると、内部結露という状況になってしまいますので目に見えにくい状態となり はじめは気づかずあとからカビが繁殖して行く状態となってしまいます まとめますと

①二重サッシだけの断熱では× 外皮コンクリ躯体と熱橋部の断熱工事が必要
②断熱工事と同時に湿度を調整する仕上げ材を使用すること(エコカラット以外の材料。)
③断熱の計算ができる業者でないと、省エネポイントの対象が減ってしまう

このように結露の問題は単純な内容ではなく、様々な温熱環境を考慮しないと逆効果になってしまうので専門的な技術と知識を持った業者に相談することが大切になります 。


知ってなければならない正しいマンション床の遮音防音の知識


マンションリフォームの留意点と話題になるのが、管理規約に定められたLL45・LL40などの遮音等級。
これをを守って管理規約に沿ってフローリング工事をするということがあります。

このLL45という表示方法、正しくは推定LL45等級・推定L値という表現方法として認識されていましたが、2008年より新しい表示方法としてΔL等級(デルタエルとうきゅう)という表現に変わっているのです。この表現方法に変わったことも何故変わったかも知らない業者が残念ながら多くある事が事実です。

何故、この推定L値という表現方法が変わったのか?

もともと、この推定L値とは、ある一定条件の構造建築物において上階室内全体の衝撃音が直下階への伝わった時の音を推定しているというものです。ですので床材だけの問題ではなく構造条件や壁・天井という複合的な要素での音の響き方ですから、床材のみによる音を軽減および遮音している数値ではないので、『床を遮音する数値』としては適切ではないのです。
だから推定なんです。(マンション新築ブームによって建設されていった時代の中で、床の騒音問題が各所で起き、この推定L値が指標としていく流れができたのだと推測できます)

具体的になぜ適切ではないのか?

大きく言って二つの問題点があります。
そのひとつが、ある一定条件の構造建築物だという部分が問題で、この一定条件に当てはまらなければ試験で出たL値という音の数値は出ないのです。しかもこの一定条件の構造に当てはまるマンションは少ないのです。

ですから、あくまで推定という言葉が入る推定値という表現になっているのです。
二つ目が、この数値を計る試験の基準が曖昧であるということです。
試験会場にて場所を借りるだけで、あとはフロアの製造メーカー任せで好きなように測定したのが実情でしたので製造メーカーによってバラバラな条件で測定していたのです。

ですので、ここでも推定と表現されるわけです。
実際の遮音値とは、マンションの構造躯体の厚みや工法によって変わるわけですから、この推定L値での表現方法を用いるのは適切ではないということになります。ですから様々な地域でのマンション床騒音問題となっていたのも事実です。

そこで、新しい適切な表現方法として2008年より推奨されているのがΔL値(デルタエル)という表現方法です。前出の問題だった二点を踏まえ、

1:構造条件に左右されない値として、遮音材(遮音フロア・乾式二重床等)を貼る前の衝撃音と貼った後の衝撃音との差によって衝撃吸収および遮音性能とするのがΔL値
2:試験の規定基準を厳格に定め、試験管員の監視の元で全て同じ条件で試験をしていると変わったのです。

だからと言って今までの遮音材と言われるものすべてが使えない!信用できない!ということはありません。この新しい表現方法であるΔL値を出すための試験をパスしている材料であれば問題ありません。

しかし、近年の自然素材リフォームのブームによって、床材に無垢材を採用しているのが多く見られます。 
(この無垢材を施工するために、採用される施工方法に大きな問題がある事がわかっています。下地に使う「遮音マット」を敷く施工方法と遮音等級ΔLL(1)-4等級(LL45相当)がとれている直張りフローリングに無垢材を二重張りする方法です。

この方法では、現在の規定であるΔLL(1)‐4等級をクリアすることができないことがわかっています。さらに、この二つの施工方法での遮音レベルはΔLL(1)‐1等級(LL60)という最低レベルの遮音レベルです。(協力会社による調べによるものです。)

まず、直張りフロアはその材料自体の柔軟性に遮音効果が大きく関わっており、その柔軟性のある表面に2重張りで無垢材のような硬い材料をはってしまうと、その柔軟性を失い衝撃音を吸収できなくなり返って遮音等級を最低レベルまで落としてしまいます。

また遮音マットも其の物自体は柔軟性を持っているのですが、その上に硬い材料を張ると前出を同じ結果となってしまいます。
無垢材などの硬い材料を仕上げ材に使う場合は乾式二重床方式以外では使用は控えるべきだと思います。

再度同じことをあえて言いますが、このことを知っている建築業者や担当者は一割に満たないと言われています。
では、どのメーカーが遮音等級を取れていて、安全でどこが遮音等級を取れていないのか? それはここでは色々と差し支えがあるので特定できるような表現は控えます(お問い合わせ頂ければ詳しくご説明いたします) しかし、少しだけ見分け方を書きますと

① リフォーム会社の施工方法を確認すること(直張りに上張り二重張りしていない。など)
② Δ等級検査試験が簡易試験との表記であった場合はその商品は使わない
③ 無垢材等の材料はΔ等級の取れた乾式二重床以外ではマンション階上では使用しない

簡単ではありますが、こんなところでしょうか?

とにかく、遮音の問題は簡単ではありません。 音の反響や響き方は条件によって大きく変わリますし、厳密に言えばその場で計測しなければ正確な遮音は測定できないでしょう。 遮音の問題だけでも、かなりの専門的な知識が求められるマンションリフォーム・・・

ですから本当に理解している業者に相談することがなにより大切です。

初めに・・・


マンションリフォーム専門会社の建築士として、マンションリフォームの初歩的な内容より、深い内容をコラムとして情報開示していき、多くの方にマンションリフォームの専門性を知っていただければと思います。

リフォーム業界は敷居が低く、無資格・無認可でもでき、行政への申請等は少ないので、比較的容易な参入が多い業界です。
参入しやすいということは経済発展という観点からは重要ではありますが、トラブルや問題点が多い業界とも言えます。

しかし、住宅を安心安全に維持管理していくことは社会的ニーズであるとともに、欠かすことのできない職種であるといえます。無い物を作る新築はその会社ごとに1~10までのマニュアルがあり、その役割が明確に分業され、また建築基準法というルールがきちんとあります。

しかしリフォームは千差万別な既存住宅に対して、顧客ニーズや既存構造を考慮する必要があり、マニュアルで対応する事は出来ません。

個々に対応しプランと施工方法・手順を作らなければならず、分業をどこで分けるかが難しく、また窓口となる担当者に求められるスキルは非常に高くなります。
このように一人の担当者が窓口となり現場調査・ヒアリング・設計・工程作成・工事管理等と新築よりもスキルを求められるのはリフォームではないかと思います。

その中でも、マンションリフォームは専門知識を必要とする職種だと認識しております。マンションは根本的に戸建て住宅と違いは共同住宅だということです。
マンションの代表的な悩みに、結露によるカビや腐食が挙げられます。これは大型な鉄筋コンクリート造等であるからとういう点だけではなく、構造建築物を小分けに住居としている事・化学物質放散し調湿性の無い新建材が使用されている・住まい手を考慮しない立地条件や間取りである等と複合的な理由が重なることにより結露が起きやすい構造建築物となります。また生活音も含めた騒音・遮音防音問題も共同住宅の特徴であると言えます。

まだまだ、マンションリフォームは発展途上であるため、様々な問題点が未解決であり、さらに種々の問題点が増えています。私達も含め常にスキルアップしていくとともに多くの真面目な業者やお客様とこの問題を共有していくべきだと思っています。

ですからリフォームと新築は根本的に違う業種であり、さらに戸建とマンションとでも違う業種。そのことを知らずに安易に考え手を出すとお客様も我々業者も損をしてしまう・・・・
マンションリフォームに特化した問題点などを題材として、建築のプロとして、命を守る建築士として、業界発展とマンション住民の方々の幸福な生活のためにコラムに綴ってまいりたいと思います。



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